どうしたらいいかわからないぐらい忙しくなっていて、応答無視したままのメールなんかがあって申し訳ないのにゃ。
7月7日発売の「AiLARA 『ナジャ』と『アイララ』の半世紀」に登場する方々は、ご高齢になるとメールでPDFのゲラを送って、確認していただく、というわけにはいかないこともあるので、茶封筒の原稿を持参したり引き取りに行ったりもするんだけど、やっぱり元編集者の方は、ゲラを見ると血が騒ぐようで、ものすごく丁寧に細部まで事実関係を調べ直して書き直して下さったりして、ありがたい半面、恐ろしい。
89歳の元中央公論編集者、吉田好男さんが一番緊張した。
だって戦後、日比谷のGHQへ原稿持って行って検閲のハンコもらったりしていた時代から編集畑で、純文学雑誌の編集長だったんだもの。
「とても上手くまとまっている、と、思うんだけれども……」
という前置きで、まずこの一行は必要ないよね? という感じで、いろいろご指導いただいた。はひー。
いまも現役で、六本木の事務所に出勤してお仕事されているんだけど、喫茶店で待ち合わせたときは、杖をついていらしたのに、帰るときは忘れてスタスタ歩いていっちゃって、私、あとから「好男さん、杖!」って持って追いかけたんだよね。
本当は杖いらないんじゃないですか、って聞いたら、「そういう噂もあるんだよな!」と笑っていた。
どうなっているんだ、一体。私は、“89歳のフリ”をしている人なんだろうと睨んでいる。
昨日はたまたま入った古書店で、加藤郁乎の超貴重本が数百円で投げ売りされていた。若い店員さんで、どうも価値がわからない様子だったので、黙ってその値段で買ってきた。
で、それを加藤郁乎の担当だった吉田好男さんに見せたら、
「いいの買ったね! 僕もそれ持ってないんだよ、2500円で売ってくれ」
と言われた。5倍増しでものすごくいい本買った気分になった。売らないけれど。